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マンデラの名もなき看守

 

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マンデラの名もなき看守 (2007) Goodbye Bafana

あらすじ:刑務官がいろいろ悩む。


何ともいい加減なあらすじでありますが、これ以外ないのです。悩める主人公。はああ。

ネルソン・マンデラといえば、南アフリカアパルトヘイト体制と闘い、のちに大統領となりノーベル平和賞を受賞した大物ですね。
本作はマンデラ終身刑を受けていたときに彼の監視役となった刑務官の自叙伝をもとに作られておりまして、マンデラの唯一公認の伝記映画と言われております。

主人公のジェイムズ・グレゴリーは刑務官としては下っ端でしたが、コサ語を話せるという理由でマンデラの担当看守になります。大物を任されるということは昇進の第一歩でもあり、本人も張り切るし奥さんも相当浮かれております。
でもこのジェイムズさんは他の白人たちとはちょっと違っておりまして、特に保守的でも差別的思想の持ち主でもなく、それが元で「黒人びいき」と周囲に疎外されたり家族が脅されたりして公私共にいろいろ大変になっていくわけですね。

この映画が素晴らしいのは、白人看守が人間的に成長するとか差別はいけませんよというような安っぽい道徳ドラマではない、というところだと思います。
あくまでもジェイムズとマンデラの関わりを通して、アパルトヘイト体制というひとつの時代を大きく描き出す。そして、その時代の中に起こる様々な変化を、ジェイムズの家族や町の人々といった小さな社会に投影して見せる。一見地味なこの手法、これが本作のいいところでしてね、歴史の大きな流れと区切りがよくわかります。

ジェイムズは最後の最後まで悩んでおりました。それはまた、27年にも及ぶマンデラの獄中生活の歴史でもありました。
ネルソン・マンデラ大統領就任式にはジェイムズも招待されたとのこと。二人の間でどんな会話が交わされたのか、非常に興味のあるところです。
久しぶりに観ましたが、やっぱり素晴らしい映画でございました。なお、タイトルは原題のほうがずっといいです。